極秘出産でしたが、宿敵御曹司は愛したがりの溺甘旦那様でした
「俺よりひとつ年上だからって、昔から姉貴面するんだ」

 そう言って衛士は腕時計を確認する。そろそろパーティーがお開きになりそうな時間だった。

 最後のあいさつ回りを終え、パーティーは無事に終了した。私はパウダールームの鏡の前で、気の抜けたようなため息とともに肩を落とす。

 後は帰るだけだが、ここにきて疲労感が一気に押し寄せる。

 ちらりとスマートホンを確認すると、陽子さんからメッセージと茉奈の写真が送られていた。【野菜もちゃんと全部食べました】の文面と共に、煮物だろうか大根と人参をフォークに突き刺して口に運んでいる茉奈が映っている。

 これが送られてきたのが、およそ二時間前。そして今【無事に寝ました】と送られてきた。

 自然と笑みがこぼれ元気を取り戻す。今日は茉奈を迎えに行ったついでに陽子さんの家で泊まらせてもらおうかな。

「あら、未亜さん」

「亜由美さん」

 スマートホンをバッグにしまったタイミングで亜由美さんが現れ、彼女はすぐに笑顔になった。

「お疲れ様。疲れたでしょ? 帰ったらゆっくり休んでね。って、お子さん小さいから難しいのかしら?」

「いいえ。今は叔母に預かってもらっているんですが、もう寝たみたいで」

 ちょうど連絡があった旨を伝え、私はその場を去ろうとした。

「衛士はちゃんと子どもの面倒、見てくれるの?」

 しかし亜由美さんは会話を続けるので私は足を止めて答える。
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