極秘出産でしたが、宿敵御曹司は愛したがりの溺甘旦那様でした
妊娠がわかったときも、茉奈が生まれてからもなんとか乗り越えてきた。
それなのに、また衛士が目の前に現れて……。
彼に対して物分かりがいいふりをして、常にどこかで一線を引いていたのは事実だ。そうしないと壊れてしまいそうだった。怖かった。
だって、もしもまた衛士に気持ちを傾けて、空回りに終わったら……今度こそ私はひとりで起き上がれない。
「本当はまだ、立ち上がれていないんじゃないか?」
衛士の指摘に目を見張る。頬に添えられていた彼の手が滑り、親指がそっと私の目元をなぞる。その温もりに目の奥が熱くなり視界が一気に滲んだ。
「き……らい。……衛士なんて……嫌い」
目尻からとめどなく涙があふれてくる。顔を背けたいのに彼の手がそれを阻んで、自分ではどうすることもできず、同時に胸の奥に固く蓋をしてしまっていた感情が口をついて出る。
「嘘、つき。……嫌い。衛士の、ばか。大っ嫌い」
発した自分の声が頭の中でくぐもって響く。
なにを今更、言っているの? 涙しながらこんな子どもじみた言い方で相手を責めて。そんなことをしてもなにも変わらないのに。
ましてや彼とは茉奈の両親として付き合っていかないとならない。
もうひとりの冷静な私が訴えてかけてくるが、堰を切ったように湧き上がる思いが止められない。
「ん……悪かった」
とめどない私の涙を拭いながら衛士が神妙な面持ちで告げた。しまったと思いつつ彼の顔はどこか安堵めいたものでもあって、おかげで私もそのまま続ける。
それなのに、また衛士が目の前に現れて……。
彼に対して物分かりがいいふりをして、常にどこかで一線を引いていたのは事実だ。そうしないと壊れてしまいそうだった。怖かった。
だって、もしもまた衛士に気持ちを傾けて、空回りに終わったら……今度こそ私はひとりで起き上がれない。
「本当はまだ、立ち上がれていないんじゃないか?」
衛士の指摘に目を見張る。頬に添えられていた彼の手が滑り、親指がそっと私の目元をなぞる。その温もりに目の奥が熱くなり視界が一気に滲んだ。
「き……らい。……衛士なんて……嫌い」
目尻からとめどなく涙があふれてくる。顔を背けたいのに彼の手がそれを阻んで、自分ではどうすることもできず、同時に胸の奥に固く蓋をしてしまっていた感情が口をついて出る。
「嘘、つき。……嫌い。衛士の、ばか。大っ嫌い」
発した自分の声が頭の中でくぐもって響く。
なにを今更、言っているの? 涙しながらこんな子どもじみた言い方で相手を責めて。そんなことをしてもなにも変わらないのに。
ましてや彼とは茉奈の両親として付き合っていかないとならない。
もうひとりの冷静な私が訴えてかけてくるが、堰を切ったように湧き上がる思いが止められない。
「ん……悪かった」
とめどない私の涙を拭いながら衛士が神妙な面持ちで告げた。しまったと思いつつ彼の顔はどこか安堵めいたものでもあって、おかげで私もそのまま続ける。