義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~

「ならよかった。人間関係がいいのが一番だよ」


 ほっとした様子の小夏は、箸を止めて意味深な笑みを浮かべる。


「でも、バックに弁護士がついてるのは強いよねぇ。なにかあったら助けてもらえるじゃん」
「ああ、うん、そうだね。ちょっと過保護だけど」


 急に聖さんの話題になって、私は照れ笑いをこぼした。

 社会人となった私に、彼はよくよく言い聞かせた。『パワハラにセクハラ、業務内容や給与面も、おかしいと感じることがあればすぐに教えなさい』と。

 今のところなにもなく、聖さんの出番はなさそうなので安堵しているが、小夏の言う通り問題が発生したらすぐに動いてくれそう。彼に頼りきりになりたくはないので、なるべく自分でなんとかしたいけれど。

 こうやって聖さんを思い出すと、もどかしい気持ちになる。横浜での一夜を過ごしてから、これまでとまた違うドキドキ感を抱くようになったのだ。

 たぶん、身体が彼の熱や形を覚えてしまったからなのだと思う。妄想なんかじゃ補えなかったものだから。

 なんだかいたたまれなくてお茶をすすっていると、小夏がにんまりとして私の顔を覗き込んでくる。
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