義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~

 口の端を引きつらせる碓氷さんだが、藤宮さんにも食事会のときの話をしていたらしい。女子ふたりは性格が正反対にもかかわらず、案外仲がいいのだ。

 この三角関係を皆が知っていても、瀧と藤宮さんがいい意味で遠慮しないので、逆に気まずくならずにいられるかもしれない。

 瀧は藤宮さんの暴露話を聞いておかしそうに笑ったあと、碓氷さんを励まし始める。


「その負けん気の強さも霧子ちゃんの魅力だし、基本クールなだけにわかりやすいところも可愛いから、茜ちゃんの言う通りすぐに次の男も……」
「セクハラで訴えていいですか」


 話し終える前に、碓氷さんがイラっとした調子で言い放った。普段以上に塩対応な彼女だが、瀧はそれをものともせず飄々とかわしている。

 なんだか話が逸れてきたし終わりそうにないので、もう諦めて入っていくことにする。


「おはようございます」


 何事もなかったように登場すると、藤宮さんと瀧がぱっと顔を輝かせる。〝本日の主役が来た!〟とでもいうように。


「おはようございます! 待ってましたよ~」
「おはよ。今日もコーヒー飲んできたか? 彼女と」


 藤宮さんに続いて〝彼女と〟を強調して俺の反応を窺う瀧に、開き直って「もちろん」と答えた。
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