義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~

 午後三時、聖さんが来る約束の時間になりそわそわして待っていると、アパートの外で車が停まる音がした。二階のここからカーテンを開けてそっと見下ろすと、予想通り黒の高級ハイブリッドカーが停まっている。

 車のドアが開き、黒いチェスターコートを羽織った聖さんが降りてきた。彼は自然にこちらを見上げる。まるで私が覗いているのをわかっていたかのように。

 ぱちっと視線が合い、私を捉えた彼の表情がふっとほころんだ。胸がぎゅっと掴まれ、顔が火照るのを感じながらそろそろとカーテンを閉める。

 ……これだけでドキドキしてしまうって、本当に重症じゃないの。すごく久しぶりに会うわけでもないのに。

 ほどなくしてインターホンが鳴ったので、ストレートロングの黒髪をささっと手ぐしで整えて彼を出迎える。

 休みのはずが、ナチュラルショートの髪はビジネス仕様にセットされているしスーツ姿だ。いつ見てもたまらなくカッコよくて見惚れてしまう。


「お待たせ、六花(りっか)


 落ち着いた笑みを浮かべ、艶のある低い声で名前を呼ばれると胸が甘く疼く。


「仕事だったの? ごめんね、忙しいのに」
「大丈夫だよ。六花との時間も大事だから」


 さらりと嬉しすぎることを言ってくれるので、私はニヤける口元を隠せなかった。
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