義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~

 前方からそんな声が聞こえて顔を上げた私は目を疑った。そこにいたのは、緩くカールした栗色の長い髪にメイクも施した、女性の姿をしたアキちゃんだったから。


「ええっ、アキちゃん⁉」
「すっごい偶然! 会えて嬉しい~」


 目をまん丸にして叫ぶ私に、彼女は手を振りながら寄ってきた。このアイドルみたいな可愛い姿は久しぶりに見る気がする。

 いやそれより、なぜもう帰ってきているのだろう。アキちゃんと小夏とゴールデンウイーク中に会う日は決めたが、まだ早いんじゃないだろうか。


「なんでいるの⁉」
「早い人はもうゴールデンウイークに入ってるじゃん。大学も講義ないからさっそく帰ってきちゃった」


 言われてから、そういえば昨日から連休の人もいるのだと気づいて苦笑する。


「そっか……私もうゴールデンウイークとか関係ないから、すっかり頭になかったよ。曜日感覚も狂っちゃってるし」
「もう社会人になったんだもんね。職場はどう? りっちゃん可愛いから嫉妬したお姉様方にいじめられてないか心配」


 大袈裟に心配され、私は軽く笑って首を横に振る。
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