義兄の純愛~初めての恋もカラダも、エリート弁護士に教えられました~

「っ……無理!」


 思わず音を上げて顔を背けると、一瞬目を丸くした聖さんは呆れ顔に変わる。


「なにが無理? グラフを動かすだけだけど」


 ……彼の言う通り、今私はパワーポイントにグラフや表を挿入する方法をおさらいしていて、マウスを持つ手を動かされただけ。なんらやましいことはしていない。

 しかし、聖さんが醸し出す色気と私の恋心が合わさって、家庭教師をしてもらうたびイケナイ妄想をしてしまう。脳内でこっそり楽しんでいる秘密の時間なのだ。

 私は赤くなっているだろう顔を俯かせて呟く。


「聖さんのせいだよ……」
「こんなに優しくしてるのに?」
「それも!」


 彼は不服そうに小首をかしげ、私は両手で顔を覆った。

 今みたいなセリフをあなたに言われるとエッチなシチュエーションに変換されてしまうのですよ! さっきから〝入れる〟が〝挿れる〟に聞こえて困るんですよ!

 私たちがどうこうなるとは思えないから、妄想するしかないのだ。
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