別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
ということは、私の傷を治すために外科医になったというのは本当なのだろう。
父や母にも傷の治療法について詳しく話していたし。

あのときは、外科医なら誰でも知っている知識なのだと思ったけれど、もしかしたら違うのかもしれない。


そのとき、携帯が震えたのに気づいて手に取った。陸人さんからのメッセージだ。


【ボストンに無事到着しました。今日も一日お疲れさま】


私をねぎらう言葉を見て、視界がにじんでくる。


「陸人さん……。嘘だと言って」


吉野さんの言葉を全部否定して。
私を愛しているから抱いたのだと。結婚を申し込んだのだと。
お願いだから……。

心の中で叫んでも、遠いボストンにいる彼に伝わるはずもない。


【長旅お疲れさまでした】


たったひと言では冷たいと思ったけれど、今の私はこの返信をするので精いっぱいだった。



眠れぬ夜を過ごした翌日は、仕事はお休み。
< 121 / 335 >

この作品をシェア

pagetop