別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
「結婚されてないんですね」
鋭い指摘に目が泳ぐ。
苗字が変わっていないので察したのだろう。
きっと彼は凛が自分の子だと気づいている。
でも、今さら言うつもりはない。
「ごめん」
「えっ?」
いきなり謝られて、目を見開く。
てっきり黙っていなくなったのを責められると思ったのに。
「どうしても見つけられなくて……あきらめそうだった。痛い思いをした凛ちゃんには悪いけど、神さまが俺たちを引き合わせてくれたんじゃないかっ――」
「なにをおっしゃっているのか、わかりません」
それ以上聞いたら泣いてしまいそうで、私は彼の言葉を遮った。
陸人さんが私との再会を望んでいたとわかってうれしいのに、どうしても彼の重荷になりたくないという気持ちが勝ってしまう。
陸人さんを愛しているからこそ、彼には私とは関係ない未来を歩んで本当の幸福をつかんでほしいのだ。
「心春……」