別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
今のところなんともないようでホッとしたのと同時に、まだこれからだと気持ちを引き締める。


「傷についてですが、ケロイド体質ということで、凛ちゃんは少し注意が必要です。ですが、私が必ずきれいに治してみせます」


陸人さんは私をまっすぐに見つめ、そう言いきった。

ドクターとしてではなく、背中の傷で悩んできた私を知っている陸人さん個人の宣言のような気がして、ドキッとする。


「よろしくお願いします」


私はいまだ目覚めない凛を抱いたまま、深々と頭を下げた。

それから使用する薬剤や治療方針などの説明があり、必死に耳を傾ける。


「さっきの患者さん、バイタルチェックしてきてくれる?」
「わかりました」


それらがひと通り済むと、彼はついていた看護師に指示を出す。
看護師が出ていくと、私たち三人だけになった。


「凛ちゃんは……三歳」


陸人さんが次に漏らした言葉に、緊張が走る。
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