別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
「凛ちゃん、こんにちは。元気そうだね」


彼はいきなりしゃがみ、凛と視線を合わせて微笑む。

おそらく自分の子だと気づいているであろう彼がなにを考えているのかよくわからない。

でも、嫌な顔はされなくてよかった。


「はいっ」
「おー、いい返事。診察室にどうぞ」


促されて彼のあとをついていく。

前回の記憶がよみがえったのか、凛が私の脚にしがみついたのを見て、陸人さんは凛の頭を優しく撫でた。


「先生、怖いよね。今日はチクンとしないから安心して。お母さんにお手々つないでいてもらおうか」


きっと大変な症例を診たあとだろうに、彼は穏やかな表情で話す。

診察室に入り、ベッドに寝かせた凛の手をしっかり握った。

彼女の表情は険しい。
私も緊張気味だったが、これ以上不安にさせないようにと必死に笑顔を作った。


「ちょっと診せてね。……うん。きれいにくっついてる。糸を取るね」


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