別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
「凛、図書館では静かにしないといけません」
「ごめんなさい」


絵本の好きな彼女が興奮しているのはわかっているが、きちんと言い聞かせておかなければ。

世の中には父親がいないからと陰口を叩く人もいる。


「凛ちゃん、謝れて偉いね。今度は気をつけよう」


凛がしょげていると、陸人さんがすかさず助け舟を出す。

きっと、子育てはこうあるべきだ。
ひとりが叱ったらひとりがフォローする。

でも私は叱ってばかりだ。


「うん」
「それでどうした?」
「ここにもあった!」


陸人さんの質問に、凛は笑顔で手に持っていた絵本を私に見せる。


「こぐまさんだ。本当に好きなのね」


家にもあるのだから、別の絵本を読んだらいいのにと思ったけれど、私もこの本ばかりを繰り返し読んでいた気もする。


「よーし。先生が読んであげよう」
「ほんと?」
「うん。ここおいで」


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