別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる


「わかりました」
「うん。あとはご両親だけど……」


両親について言及されて緊張が走る。

突然いなくなってどれだけやきもきさせたか自覚しているつもりだ。

今さらどんな顔をして会いに行ったらいいのかわからない。

私が眉をひそめたからか、彼は心配そうに顔を覗き込んでくる。


「心春が姿を消したとき、謙一くんと相談をして――」
「兄と?」


思いがけず兄の名が出て目を瞠る。


「実は……心春と付き合う前から、謙一くんとは連絡を取り合っていたんだ。事件のあと、本宮のご両親には心春に近づかないでほしいと言われて、会えなくなった。でも、心春のことがずっと気になっていて……。俺も事件のあとアメリカに渡ってしまったんだけど、日本に戻ってきて真っ先に心春の実家を覗きに行った」


忘れないでいてくれたんだ。
それだけでもうれしい。


< 201 / 335 >

この作品をシェア

pagetop