別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
忙しいのに違いはないけれど、恵子さんも幸せなんだと思う。ふたりは時々小競(こぜ)り合いをしているけれど、とても仲がいい。

恵子さんも食彩亭の経営に本気で反対しているのなら、手伝ってなんていないはずだ。
それに……。


「恵子さん、いつもおっしゃってますよ。うちの旦那の料理は世界一だって。こんなに安く売るのがもったいないって」

「……それはあれだよ。もっと儲(もう)けろってことさ」


重さんはそんなふうに言うけれど、今度は耳まで真っ赤に染まった。


素敵な夫婦だな。
いつか私も旦那さまと……と考えてしまったものの、打ち消した。



三日後の祝日。
その日は近所のスポーツ施設でバスケットの試合があったらしく、開店直後からてんてこ舞い。

ランチタイムになると観客が押し寄せて、食彩御膳だけでなくほとんどの弁当が売り切れてしまった。

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