別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
どちらかというといつもツンツンしていた兄からの優しいねぎらいが、私の心を温めてくれる。


陸人さんのもとを離れてから苦労の連続だった。

けれども、こんな未来が待っていたなら、それらの苦労ですら幸福をつかむための試練だったんだと思える。

目頭が熱くなりそっと手で押さえると、ハンカチが飛んできた。


「実家には俺も一緒に行ってやるから、洗って返せ。まずは陸人をねぎらってやれ。アイツ、お前がいなくなってほんとボロボロだったんだぞ。でも必ず見つけるって、忙しいのに捜しまわって。見つかったときは俺の前で男泣きしやがった」


陸人さんが?


「おぉ、噂をすれば」


兄が店の入口に視線を送るので私も顔を向けると、そこにはスーツ姿の陸人さんがいる。


「ここにいるって言っておいたんだ。伝票は陸人に渡しとけ。心春、幸せになれよ」


< 239 / 335 >

この作品をシェア

pagetop