別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
重さんは笑顔で私の肩をトンと叩いてから厨房へ戻っていった。



気を引き締め直して仕事を続けているうちに雨が降りだし、たちまち大粒になってきた。

今日は忙しくて疲れたのもあるし、なによりミスをしてしまって気持ちが落ちているせいか、背中の傷が疼く。

鈍痛に耐えながら接客していると、閉店の十九時間際にお客さんが駆け込んできた。
天沢さんだ。


「間に合った」


彼はランチだけでなく夕飯用に買いに来てくれるときもあるのだ。


「傘をお持ちではないんですか?ちょっと待ってください」


羽織っている黒いジャケットが濡れている。
私は慌てて奥の休憩室に行き、バッグからタオルを取ってきた。


「これで拭いてください。洗ってありますから」

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