別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
だからこそ、離れなければと思ったのだ。
私も陸人さんを幸せにしたかった。


「お前を不安にさせた俺が悪い」
「ううん」


陸人さんはいつだって私の気持ちを優先してくれていたのだ。

誘拐事件の記憶を思い出さないように、細心の注意を払って。

だからこそ口にできない言葉もあったはず。


「ごめんな。でも、心春も凛も、俺が必ず幸せにしてみせる」
「あっ……」


その瞬間、思いきり奥まで突かれて声が漏れた。


ずっと『凛ちゃん』と呼んでいた彼が『凛』と呼び捨てするのを聞き、視界がにじんでくる。

父親なのだからそれが自然だ。

凛が許してくれれば、三人で家族として生きていきたい。


つながったまま私を抱き上げた彼は、もう一度深い口づけを落とす。

そして背中の傷にそっと触れてから、私を強く抱きしめた。


「この傷も、俺に治療させてくれないか? お前の体も心も俺が治したい」
「はい」
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