別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
「さっきは上手にお名前教えてくれたのにね。おじいちゃん、顔が怖いから。凛ちゃん、こっちでケーキ選んでね」


母が凛をうまくキッチンに連れていってくれた。
さすがはふたりの子を育てた経験者だ。


「親父。気持ちはわかるけど、陸人の話を聞いただろ? 心春だって考えに考えて――」
「わかってる」


兄がかばってくれたけれど、バッサリ切られてしまった。


「お父さん、勝手なことしてごめんなさい」
「お前は悪くない」


もう一度謝罪したものの、父は険しい顔を崩さず視線を合わせてくれない。


「だったら愛想よくしてやれよ」


兄が口を挟んだが、私は首を横に振って制した。
私が悪いのだ。


「本当にごめんなさい」
「心春に怒っているわけじゃない。私は自分の行いを悔いているんだ」


どういう意味?

父がチラリと凛に視線を送る。

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