別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
「顔色がよくないです。もう閉店ですよね。俺、車なのでもしよければ送りますよ。いや、迷惑か……」


こんなに優しい申し出が迷惑なわけがない。
ただ、さすがにそこまで甘えられないし、自立するためにひとり暮らしを始めたのに、周囲の人に甘えてばかりの自分が情けない。


「とんでもないです。お気遣いありがとうございます」


私はお礼を言ったあと、彼からお金を受け取った。


「心春ちゃん」


そのとき、奥から重さんが顔を出した。


「あっ、お客さん……。失礼しました。あれっ、先日の方ですよね」


横柄な男性客から助けてくれたのを覚えていたようだ。


「ちょっと待ってください」


重さんは慌ただしく再び奥へと引っ込み、今度はコロッケをふたつ持って出てきた。


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