別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
恵子さんにまで指摘されて、とっさに首を横に振って笑顔を作る。
「大丈夫です。失礼します」
「うん、気をつけて」
私は店頭に残っていた和風ハンバーグ弁当をありがたくもらって、外に出た。
しかし雨がさらに激しくなっていたので、足が止まる。
「ひどくなってきちゃった……」
悪天候のせいか、背中に時々刺すような痛みが走り、ため息が出る。
最寄りの駅まで歩いて五分。
これだけ降っているとびしょ濡れを覚悟しなければと思いながら足を踏み出そうとすると、「やっぱり」と声が聞こえてきてそちらに顔を向けた。
「あっ……」
「一本しか持ってないのに貸してくれたんだろうなと思ってました」
歩み寄ってきたのは天沢さんだ。
「持ってると思ったんですけど、なかったみたいで」
苦し紛れの嘘をつくと、彼はクスッと笑う。
「心春さん、嘘が下手すぎ。送らせてください。誓って変なことはしません」