別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
失敗しても何度でも投げ続ける凛の顔が自信に満ちあふれているからだ。

私は傷のせいで心を閉ざしてしまったけれど、彼女にはたくさんの人とかかわりながら人生を楽しんでほしい。


しばらくして疲れると、三人でおやつタイムだ。

風が少し強い今日は、風よけになりそうな大きな木の根元にシートを敷いて座った。


「寒いー」


クッキーをむしゃむしゃ頬張る凛が、足を投げ出して座っていた私の膝に乗ってくる。

動いて汗をかいたので冷えたのだろう。


「そうね。風が……」
「ママの抱っこ温かいね」


笑顔の凛を見て、陸人さんが「それじゃあ」と私の背中のうしろに座り、ふたりまとめて包み込んでくれた。


「先生すごーい」


体の大きな陸人さんは、防風堤のようだ。


「陸人さんが風邪ひいちゃう」
「大丈夫。こうしてれば温かい」


彼はいっそう密着してきて、私の肩に顎をのせた。


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