別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
「寒いけど、幸せだな」


耳元でつぶやかれ、思わず笑みがこぼれる。

育児は大変だが、きっとこの一瞬もいい思い出になるはずだ。

彼と私の幼い頃の日常が今につながっているように。


「ねぇ、先生」
「なに?」
「ママに好きって言った?」


突然なんの質問?

凛の言葉に、冷や汗が噴き出す。


「もちろん言ったよ。今までもこれからもずっと好きって」


陸人さんもなに大真面目に答えているの?

適当にごまかすと思いきやこんな返事で、聞いている私がたじたじだ。


「ママは?」
「へっ、ママ?」


凛に問われて、目がキョロッと泳いだ。

大人はこういう質問は恥ずかしいのよ!と思ったけれど、陸人さんは平然としているか。


「ねぇ、好き?」
「……す、好き、よ」


観念して口を割ると、振り向いた凛がニマーッと笑うので余計に恥ずかしい。

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