別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
ただ、野上総合病院救命救急の将来を背負うと噂されている陸人さんとの結婚が自分のためになると考え、天沢の両親との付き合いは続けていたのだとか。

陸人さんはそれを知っていて、彼女に『結婚は損得を考えてするものじゃない。心を許せると思う人を見つけたほうがいい』と伝えたそうだ。


「毎度、どうも。心春ちゃん、あとよろしく」


恵子さんは陸人さんに弁当をふたつ渡して奥に入っていった。
ふたりにしてくれたような気がする。


「あの頃が懐かしいな。結構熱い視線を送ってたつもりだったのに、全然気づいてもらえなくて」


陸人さんはクスクス笑う。


「だって、まさかですよ!」


いつも優しく声をかけてくける彼にあこがれの気持ちは抱いていたけれど、傷のコンプレックスが強すぎて、遠くから眺めているだけの存在だった。


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