別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
「そうだよな。でも、ママか先生が一緒のときじゃないとダメだぞ。ママだって最初はそうだったんだよ。もう少し大きくなったらひとりでできるようになる」


叱ったあと怒りの感情を引きずらず、凛の気持ちも汲む陸人さんはパーフェクトな父親だ。

私だったらしばらくガミガミ言ってしまいそう。


「なに作ろうとしたの?」
「はちみつケーキ」


リビングの床に、こぐまさんのはちみつケーキの絵本が転がっている。

突然思い立ったのだろう。
子供らしいといえばそうだが、やはり危険は教えておかなければ。


「そっか」
「凛、先生ともっと仲良くなりたいの。パパになってほしいの」


そのあと放たれた言葉に、陸人さんが目を丸くする。
そして私も。


「凛。先生はもう凛のパパなのよ」


歩み寄りしゃがんで伝えると、彼女は首をひねっている。

当然わかっていると思っていたけれど、違うの?


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