別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
「パパって言ってもいいの?」


凛の質問に、陸人さんが頬を緩めて彼女を抱きしめる。


「もちろんだ。パパって呼んでいいのは、世界で凛ちゃんだけだよ。凛ちゃんだけの特権だ」


陸人さんの声がかすかに震えている。

この日を待ちわびていたからだ。

それなのに、凛の勘違いだったとは。
だから頑なに先生と呼んでいたのか。


「ずっと我慢してたの?」

「うん。だって先生だもん。保育園の先生、ママじゃないもん」


子供の思考はときに突拍子もないのだと知った。

園の先生をママと呼ばないから、誰からも先生と呼ばれる陸人さんをそう呼んではいけないと思い込んでいたようだ。


「そうか。我慢させてごめん」


陸人さんは凛を見つめて申し訳なさそうにしている。


「凛ちゃん。大事なお話があるんだ」


そして続いた言葉に緊張が走った。
彼がこれから口にするだろう話がわかるからだ。


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