追放されたハズレ聖女はチートな魔導具職人でした2
「ありがとう! それじゃ、ゆっくりいこう!」

「ォォォォ……」

再び頷く六郎。

彼は極力大地を揺らさないよう、慎重に歩を進めていく。

やがて街に近付くにつれて街道を歩く旅人たちが増えてくると、彼らはゴーレムとその肩に座るココに気づく。そして、ココの服装から彼女が聖女であると判断し、道を譲って頭を垂れた。

「ありがとうございまーす!」

ココは旅人たちに手を振る。

「おお……聖女様……」

「このような場所で聖女様に拝謁できるとは……」

「はて、あの方はいずこの聖女様であろうか?」

「そんなことどうでもいいじゃないか、偶然聖女様にお目にかかれたのだ、きっと女神様の思し召しに違いない」

「そうだな、街に着いたら、教会にお布施を納めなければなるまい」

人々の聖女への認識は、『教会のとても偉い人』か、『女神様の代理人』である。

聖女の成り立ち、彼女たちを聖女たらしめている女神との関係性、教会での立場など、ほとんどの人は知る由もない。

だが、そうした素朴な信仰心こそ、人々から聖女への尊敬の念が薄れることを防いでいる。

信仰の拠り所である教会とはいえ、それを運営するのは人だ。人が運営するということは、人が理解できる摂理によって成り立っている。

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