追放されたハズレ聖女はチートな魔導具職人でした2
ならば、信徒であっても知識さえあれば、教会の摂理、より端的に言うならばその正体を理解することもできるだろう。そうなれば、自分の信仰対象に疑問を持つ者も現れる。

超常の存在に、人は恐れを抱く。理解できないからこそ、憧れを抱く。それを守るために、教会は聖女の神秘性を守ろうとしていた。

「こんにちはー!!」

その神秘性の化身が、ゴーレムの肩で元気よく手を振る。

人々は自分が想像していた聖女との違いに戸惑いを抱いていたが、その聖女がいる場所は、巨大なゴーレムの肩の上だ。決して神秘的ではないが、超常の存在であるということだけは誰の目にも明らかだった。

「なにか困った事があったら、あとできてくださーい!」

ココは両手でメガホンを作り、人々に呼び掛ける。

「なにかできるかもしれませーん!」

曖昧な呼び掛けではあったものの、それを発したのが聖女だったこともあり、人々はその言葉に疑いを持つようなことはなかった。

やがてココは人々を連れ、街の門へと辿り着いた。

そこではグラナイトが門兵と共に、彼女の到着を待っていた。

「ココ様! どうぞこちらに!」

「はい! 六郎、降ろして!」

「…………」

求めに応じ、六郎が手を差し出す。

ココがその手のひらに飛び移ると、六郎はゆっくりとココを地面に降ろした。

「聖女様の来駕、恐悦に存じます」

< 12 / 13 >

この作品をシェア

pagetop