追放されたハズレ聖女はチートな魔導具職人でした2
その人型の肩の上に立つ、小さな影――ココは楽しくて仕方がないといった様子できょろきょろと周囲を見回している。そんなココの肩の上に鎮座する彼女の眷属もまた、主人の楽しげな様子に上機嫌だった。

しかし、彼女たちの遥か下、巨大な人型たるゴーレムの六郎の足元で馬に乗っているグラナイトは気が気ではない。

「ココ様! 立ち上がってはいけません! 危険です!」

片手を口元に寄せ、大声で注意を促す。

六郎の身長はグラナイトの五倍ほどで、万が一落下すれば命の危険もあった。

「だいじょーぶだよー!」

ココはグラナイトに手を振る。

あまりにも大きく手を振るため、彼女の体は大きく揺らいでいた。

「おっとっと……」

「ココ様ぁあああああっ!?」

六郎の肩から滑り落ちそうになるココを見て、悲鳴を上げるグラナイト。

王国、そして教会の精鋭でもある聖騎士がこれほどみっともない姿を晒すなど、他に例はないだろう。

旅が始まって以来、グラナイトは毎日緊張を強いられていた。その原因は、言うまでもなくココだ。

グラナイトは心の底からココを敬愛しており、その身命を守ることを自らの生涯の使命と位置付けていた。当然、ココの一挙手一投足に気を配るのだが、グラナイトのそんな思いなど気付かないように、ココは元気いっぱいに動き回る。

まるで親の心配を知らぬ赤子のように、己の興味の赴くままに行動していた。

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