追放されたハズレ聖女はチートな魔導具職人でした2
それでいい、とでも言っているのだろう。レクサーは鼻を鳴らして正面に向き直り、力強く地面を蹴る。

グラナイトは苦笑しながらも、ようやく自分にも見え始めた大河――王国中央と南部を隔てるミューズ河を眺めるのだった。



ココの望遠鏡に映るミューズ川は、青とも緑とも黒とも言えない深い色合いだった。流れはさほど早くないようにも見えるが、渡し船の魔法の帆が強く輝いていることを考えると、実際にはかなりの流れらしい。

「あっちはどんなところかなぁ」

「きゅ?」

ココの呟きに、肩の上のナナが顔を上げる。

自分への問い掛けだと思ったのだ。

そんなナナに笑いかけ、喉を撫でるココ。ナナは気持ちよさそうに目を細め、ココの手に顔を擦り付けてきた。

「きゅきゅー」

「よーしよし」

「きゅー!」

「こしょこしょこしょー」

「きゅきゅきゅっ!?」

もみもみされ、楽しげな声を上げるナナと、同じく楽しそうなココ。

それを空洞の目で眺めながら、六郎は静かに歩を進める。

「ふふふ」

「きゅー……」

ナナの喉を撫でながら、ココは王都からの道中を思い出す。

王都での役目を終えたとき、ココは里帰りをしてから岩窟神殿へと戻るつもりだった。

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