追放されたハズレ聖女はチートな魔導具職人でした2
家族や村の人々へのお土産はなにがいいか、イワミ商会の宿舎でザクロと話し合っていたところ、国王からの使者がやってきて城に出向くことになり、南部への旅が決まってしまった。

あまりに急なことだったが、向かう先は王国内でも中央に次いで栄えていると言われる南部だ。道中で旅や生活に必要なものは手に入るし、宿屋もある、その気になれば、最低限の荷物だけで旅をすることは可能だった。

それでもココが眷属たちを呼び寄せたのは、道中で魔道具づくりをしようと思ったからだ。

「きっと、珍しい材料とかもあるよね!」

そんな風にわくわくしながら目を輝かせるココを止めることなど、グラナイトやザクロにできる訳がない。

必要な仕事だけをさっさと済ませて、里帰りをして岩窟神殿に戻り、以前のような長閑な日常に戻ればいいと思っていたとしても、決して口にすることはできないのだ。

「しゅっぱーつ!!」

王都を出るとき、ココはとても楽しそうだった。

すでに聖女がいるはずの場所に、まともな調整もしないまま別の聖女を向かわせるなど、通常では考えられない事態であることにも気付いていなかった。



◇ ◇ ◇



「ココ様!」

渡し船が出ている北リデルの街に近付く、するとレスターの腹を蹴って一行の前に出たグラナイトがココを呼んだ。

「はーい!」

それに答えるココ、身を乗り出してグラナイトを見た。

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