離婚しましたが、新しい恋が始まりました
「……俺を恨んでいるか?」
「いいえ」
「なら、怒っているのか?」
「いいえ……」
優しいと思っていたこの人は、実は冷たい人だった。やっと紬希にもわかった。
「あなたは、自分の事しか考えていない」
「紬希……」
「里華さんと、もっと話をしてあげて。それから、カウンセリングでも不妊治療でも受ければいい」
「不妊治療……」
冷たいようだが、貴洋にはキチンと言わなければわからないのだろう。
「あなたも医者なら……奥様を愛しているなら里華さんのせいにしないで原因を調べるべきよ」
言いたい事を言いきって、紬希は病室を出た。そろそろ夜が明ける時間だ。
廊下を歩いていたら少しずつ朝日が昇り始めたのか、窓ガラスの向こうに柔らかなオレンジの光が見えてきた。
(会いたい……)
無性に、光宗の顔が見たかった。