離婚しましたが、新しい恋が始まりました
「あ、はい」
紬希が反射的に答えると、シャララ~ンとカード払いの音が聞こえてコーヒーの缶がゴトリと落ちてきた。
「ほら、取れよ」
驚いて振り向くと、160cmの紬希よりさらに大きな男性が立っていた。
「あ……」
さっき別れたばかりの合コンのメンバーで、後から参加した光宗磐だ。
呆気に取られている紬希を無視して、彼は自分用のブラックコーヒーのボタンを押した。
「二次会に行かなかったんですか?」
150円を彼の手に押し付けながら紬希が尋ねると、その硬貨を受け取らず彼が答えた。
「生憎、忙しくてね」
「はあ……」
「君も行かなかったんだな」
「ええ、まあ……」
やけに距離が近いので紬希は一歩脇に避けたのだが、光宗はじっと紬希の顔を見下ろしていた。