離婚しましたが、新しい恋が始まりました
紬希の父は医師の資格を持ちながらもその経営者としてのセンスを見込まれて、有沢家の長女だった母と結婚した。婿に入ってからは有沢医療機器という医療関係の機械器具を製造販売する会社を大きく発展させた人だ。亡くなった母とは見合い結婚らしいが、一人娘の紬希も生まれて穏やかに暮らしていた。
紬希が物心つく前に病弱だった母が亡くなってから、父は家に帰ってこないで益々仕事に熱中するようになった。
やがて紬希が十五の年に、父は再婚した。その相手が銀座でクラブを経営していた逸子で、紬希より六歳下の結衣という女の子を連れて有沢家にやって来た。
亡くなった母の弟や親戚一同は猛反対。結衣は父の子かとも噂されたが、あまり似ていなかっし父も否定したので不問にされた。
父は反対を押し切って、自分の意志を曲げずに二人を新しい家族として紬希に引き合わせたのだ。
『新しいお母さんと、妹だよ』
父の言葉は、紬希には受け入れがたかった。