離婚しましたが、新しい恋が始まりました
逸子の希望で、再婚だというのにホテルで豪華な披露パーティーが開かれた。その時の来客たちから興味津々といった目で見られたことを、今でも紬希は忘れてない。
まだ10代だったが、彼女にはその視線が何を意味しているのかわかった。有沢家がどうなっていくのか誰が後を継ぐのか、好奇心に満ちた目だったのだ。
父が生きているうちはまだ良かった。逸子も大人しくしていたのだが、紬希が二十歳の時に父が急死してからは豹変した。尊大な態度で、会社も家も財産も思いのままに扱い始めたのだ。
これでは有沢家が大変な事になると危機感を持った叔父が、会社だけは守ってくれた。
逸子と結衣は、紬希が邪魔だったのだろう。
家では無視されて殆ど話す事も無いし、大学に進学してからは顔を合わせる事もなくなった。
家政婦の磯田がいてくれたおかげで、生活の苦労はなかったのが幸いだった。
(ここにいたら、息が出来ない)
だから紬希は叔父の勧めるまま、逃げるように秦野と結婚してしまった。