離婚しましたが、新しい恋が始まりました


毎年、3月になると父を偲ぶ会を有沢家で開くのが恒例だ。

母方の親戚や会社関係者などを招くのだが、逸子はその手伝いに紬希を必ず呼びつける。
自分と結衣が、正当な有沢家の娘の紬希と上手くいっているとアピールするためだ。

実際には、その日の紬希は長年有沢家で家政婦をしてくれている磯田花江(いそだはなえ)と一緒にてんてこ舞いの一日になる。おまけに今年は納戸も片付けろと言うのだ。

(あの家から出て行けってことね)

納戸には、亡くなった母の物や紬希が結婚する時に誂えた着物や家具などを置いている。

(納戸に置いておくのも限界……)

唯一、自分の生まれた家だと主張できるのが納戸に置いておいた荷物だけだ。

秦野家から持ち帰った嫁入り道具に未練は無いが、母が遺してくれた着物などは捨てられてはたまらない。紬希は留守電を聞いてから疲れが増したように思った。
もう、光宗とのやり取りは忘れ去っていた。

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