離婚しましたが、新しい恋が始まりました


「お嬢様、そろそろご準備なさってはいかがですか?」
「あ、そんな時間?ありがとう磯田さん」

磯田もその箱に目がとまったようだ。

「お嬢様、そのお品は……」
「記憶にないのよ、結婚祝いに頂いていたみたいなんだけど」

「実は……」

離婚した後に、秦野家に届いた物らしい。それが有沢家に回って来たのだが、離婚したのだからいらないだろうと逸子が納戸に放り込んでしまったという。

「そうだったの。あの頃バタバタしてたから気がつかなかった」
「お知らせするべきでした、すみません」

「いいのよ磯田さん。あの頃なら見たくも無かったと思うけど、今はステキだなって思えるの」
「このグラス、カットが本当に綺麗ですねえ……」

磯田もキラキラと輝くグラスにため息が出ている。

「折角だし、どなたからのお祝いかわからないけど使わせていただくわ」
「では、マンションに改めてお送りいたしますね」
「お願いします」



< 32 / 113 >

この作品をシェア

pagetop