離婚しましたが、新しい恋が始まりました
11時過ぎたらお客様がみえる。紬希はエプロン姿のまま2時間ほどは片付けに集中しようと納戸に入った。納戸とは言え10畳以上はある洋間だ。父が再婚する時に亡くなった母の荷物を詰め込んだし、紬希が秦野貴洋と結婚する為に準備した家具の一部や衣類を置いたのでかなりの荷物がある。
「さ、何から処分しようかしら」
結婚のために用意したものは全て捨てよう。母の荷物も、着物くらいか……。宝石類はもう持ち出したから貴重品は無いはず。そう思ってぐるりと見回せば、見慣れない箱が目についた。
結婚祝いと書かれた熨斗が付いているが、送り主の名は無い。
「私に送って下さったもの?」
紬希の記憶には残っていない。この家に届いたから、義母がこの部屋に放り込んだのだろうか。
「お礼をしていないかも……困ったわ」
中には、バカラのグラスが入っていた。カットのデザインが一つずつ違うので、毎日違うデザインが使える高価な物だった。
「ステキ……」
見とれていたら、ノックの音がした。