離婚しましたが、新しい恋が始まりました


 紬希は状況から光宗も候補の一人と誤解しているが、光宗磐の目的は結衣に会うことではない。
紬希に会うことだった。彼女の記憶にはまったく残っていなかったが、磐は紬希を知っていた。
k大医学部で同期だった秦野の結婚式に招かれていて、花嫁姿の紬希を見ているのだ。

 あれは三年半前だ。まだ少し暑いと感じる九月の半ば頃、都内のホテルで開かれていた豪華な披露宴パーティーだった。何しろ有沢医療機器の親族の結婚式だ。三百人は出席していただろう。
光宗たちは同期の医学部連中と同じテーブルだったから気軽に飲んで喋っていた。

『上手くやったな、秦野のやつ』
『いいバックがついたもんだ』
『花嫁も中々の美人だし』

アルコールが回ると皆な饒舌になっていった。

『だけど、あいつ恋人がいただろ?もう別れたのか?』
『いや、隠れて付き合うって言ってたぞ』
『マジか』
『あ~あ、知らぬは花嫁だけかあ』

黙って聞いていたら、秦野には恋人がいるらしい。しかも別れていないのだ。

『酷い話だな……』


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