離婚しましたが、新しい恋が始まりました


(知っているんだろうか、秦野に恋人がいる事を)

それくらい、花嫁の表情は冴えず、哀し気だった。末席からひな壇を見ていたので新婦は幸せそうな顔だとばかり思っていたが、どうやら違っていたらしい。

(新妻にあんな顔をさせるなんて……)

自分なら、花嫁の顔が幸せに輝く結婚式を挙げさせてやれるだろうにと磐は心の中で呟いた。
彼はその花嫁が無性に気になって、思わず声をかけてしまった。

「お綺麗ですよ」

花嫁は驚いたように磐を見ると消え入りそうな声で、
「ありがとうございます」と答えてくれた。

その時の彼女の、はにかむような顔が忘れられなくなった。自分だけに向けられた彼女の微笑みだ。


< 41 / 113 >

この作品をシェア

pagetop