離婚しましたが、新しい恋が始まりました
その日も、紬希が勤める三島総合病院のERは忙しかった。
交通事故の重傷者が数名運び込まれてくるし、心停止状態の高齢者も救急搬送されてきた。
テキパキとトリアージしながら、紬希はリーダーとして指示を出す。
「高山、村上ドクターについて」
「はいっ」
「忍さんは、こっちを手伝ってちょうだい」
「わかりました。酸素吸入します」
「お願い」
紬希はERの仕事の慌しさや、この忙しさが好きだ。
命の現場を好き嫌いで表現するのはいけないが、自分が一生懸命に仕事をする事で誰かの命が助かるかもしれない。そう思うと、この忙しさこそ意義があるように感じるのだ。
「救急車、到着しました!」
「はい、行きます!」
また、紬希は走り出す。
その姿をじっと見ている人物がいる事に気付きもしなかった。