離婚しましたが、新しい恋が始まりました
「お疲れ様で~す」
「は~い、お疲れでーす」
女子ロッカーでは、紬希と看護大学時代からの同期で親友の中畑有梨が着換えていた。薄い水色のスクラブとパンツがERの戦闘服だ。これを脱ぐと、ふたりはホッとした顔をする。
紬希は、一つに結んで後頭部に留めていた髪を下ろした。肩にかかる長さは、短く切るか伸ばすか迷うところだがシニヨンにするには丁度いい。切れ長の目とスッキリした顎のラインが美しい紬希には、まとめた髪型は良く似合っていた。
「疲れたね。どう?一杯」
同期ならではの気安い関係にあるので、紬希は時々お酒が飲みたくなると有梨に声をかける。
「う~ん、今日はやめとく。明日、合コンなんだ」
「あれ、先週も行ってなかった?」
「そうなんだけど、不作だったのよ。明日に期待してるんだ」
もうすぐお互い28だ。有梨は近頃本気で結婚相手を探しているらしい。
「明日はね、村上ドクターの後輩がメンバーを集めてくれてるの」
「じゃあ、ドクターばかりかもね。今夜はゆっくり寝て明日に備えなくちゃ」
「メイクのノリが悪くならないようにするわ」
ケラケラと大きな声で笑っているが、有梨はいつもオシャレに手を抜かない美女だ。きっと、明日の合コンでもモテまくるだろう。
「頑張ってね!」
「紬希も行かない?」
いつものように、親友は誘ってくる。
「何言ってるの。バツイチよ、私」
「関係ないわよ、今はシングルでしょ?」
「ありがたいけど、私はいいわ。もうこりごり」
二人でお喋りしていたら、他のスタッフたちがやって来た。