離婚しましたが、新しい恋が始まりました
翌日、磐は大学病院での仕事だった。
慌しい昼休み、短時間で食事を取ろうと院内の食堂に行ったらバッタリ沢村崇と出会った。
「お、光宗久しぶり。これから昼メシか?」
「ああ、お前もか」
ふたりで会うのは、あの合コン以来だ。同じ職場にいてもゆっくり話す時間は中々取れない。
職員用の食堂は昼を過ぎても混んでいたが、二人は何とか並んで座われた。
「忙しい日は、どうしてもカレーだ」
「ああ、早いし、外れが無いからな」
男二人、無言でカレーを食べる。ほぼ皿が空になった時、沢村が尋ねてきた。
「そういえば、あれから誰かと付き合ってるのか?」
沢村は合コンの事を言っているのだろう。
「いや?」
「お前、あんな美女たちに囲まれていたのに、さっさと帰るからだよ」
「特に必要としていないからな」
「お前、絹田教授からも見合い話を持ちかけられたんだろ?」
「情報が早いな」
「それだけお前の結婚は注目されてるんだよ」
光宗の実家は誰もが知っている総合病院で、兄も医師でマスコミにも登場している人気者だ。
当然、磐も実家にいずれは帰るだろうと噂されているのだ。それだけに、彼の妻になりたいという女性は後を絶たない。