離婚しましたが、新しい恋が始まりました
光宗磐は、呆然と走り去る紬希を見送った。
もしかしたら紬希と同じ時間に退勤出来るかと思って通用口に向かったら、言い争う男女が見えたのだ。見覚えのある秦野貴洋と、彼に腕を掴まれている紬希だと気がつくと夢中で走り寄った。
復縁を迫る彼の声が聞こえ、許せないと思うと同時にカッとなって秦野の腕を掴んでしまったのだ。
披露宴で耳にした、恋人と別れないまま紬希と結婚するという話も蘇って秦野に激しい怒りを感じた。
だが、肝心の秦野を追い払ったというのに、紬希の態度は不可解だった。自分を覚えていると言った時は懐かしそうに話していたのに、急に顔色を変えて走り去って行ったのだ。
(何かおかしい……)
普通ではなかった彼女を思うと、気になって仕方ない。しっかりしている様で脆くもあるし、いつも張り詰めているように見える。彼女には、何か隠していることがありそうだ。
まだまだ彼女との心の距離は遠そうだと思うと、磐は残念でならなかった。