離婚しましたが、新しい恋が始まりました
紬希のマンションは、落ち着いた住宅街の一角にあって住みやすい。
一人暮らしの看護師が住むには豪華すぎるマンションだが、離婚後は一人で生きようと思いつめていた紬希は慰謝料でここを買ったのだ。マンションは7階建てで、紬の部屋は5階にある。
坂道の上にあるので見晴らしの良い部屋だ。病院までも歩いて通えるので気に入っていた。
ある日、日勤を終えて帰宅するとマンションの入り口に結衣が立っているのが見えた。
「結衣、どうしたの?」
「あ、お義姉さん」
3月の父を偲ぶ会以来だ。結衣は今日も洒落た服装で、初夏に相応しい鮮やかな黄色のパンツスーツを着ている。
「学校の帰り?」
「ううん、これから遊びに行くところ」
「そう……」
もう6時を過ぎている。これから夜遊びかと、疲れた紬希には考えられない元気さだ。