離婚しましたが、新しい恋が始まりました
「チョッとお義姉さんにお願いがあって」
「じゃあ、中に入る?」
「うん」
結衣を連れてマンションに入った。エントランスからエレベーターに乗っても、結衣は無口だ。
「ねえ……」
「なあに?」
紬希の部屋に入ったら、唐突に結衣が話しかけてきた。
「看護師の仕事ってキツイんじゃあないの?」
「キツイ?」
「忙しいし、患者さんのお世話も大変そうだし、血とか見るし……」
「そんな事、考えた事もなかったわ」
「ふ~ん」
結衣をリビングに座らせて、紬希はお茶の準備に立った。
「紅茶でいい?」
「うん」
キョロキョロと結衣は部屋の中を見回している。
「ホントに一人で住んでるんだ……」
「どうして?」
「秦野さんと別れて三年も経つのに、恋人とかいないの?」
無邪気さは時には罪になる。結衣は相手の気持ちなど考えたことがないのだろう。紬希にも無遠慮に聞いてきた。