離婚しましたが、新しい恋が始まりました
「えっ?」
「大人で、頼りがいがあって、ご実家も大病院でお金持ちで……」
紬希は、まさか結衣が不愛想な光宗磐を結婚相手に選ぶなんて思ってもいなかった。
「でもね、結婚前提のお付き合いをお願いしたんだけど絹田教授から返事がないの」
「あ、そうなの?」
結衣の手前、気にしていないようなフリをしたが紬希はどこかでホッとしている自分に気がついた。
「だから、お義姉さんにお願いしようと思って」
「私に、何を?」
イヤな予感がする。
「光宗先生を我が家の夕食にお招きしたいの。先生に声掛けて都合のいい日を聞いてくれない?」
「は?」
「お義姉さんにしか頼めないの。じゃないと私、お母さんに結婚相手を決められちゃう」
娘とはいえ、あの強引な母親は苦手なのか、結衣は両手を合わせて祈るように見つめてくる。
「私がお願いしても、無理かもよ」
「それでもいいから、聞くだけ聞いてみて。お願い!」