離婚しましたが、新しい恋が始まりました
心の傷


 磐は、やっと時間を見つけて桂木に連絡していた。一度ゆっくり話したかったのだ。梅雨入りが近い湿っぽい街をゆっくりと歩いて、待ち合わせをしているカフェに向かった。とても酒を飲んで出来る話ではないのだ。

カフェの隅に桂木か本を読みながらのんびりと座っていた。待ち合わせ時間より早めに来るのは彼の性格だ。

「悪い、待たせたかな」
「いいよ、本があれば何時間でも待てるから」
「変わらないな、お前」

コーヒーを注文して、向き合って座った。

「急にどうかした?光宗から呼び出されるのは、初めてかも」
「そうか?長い付き合いだけど一対一になったことは無かったかな」

高校時代からいつものメンバーでワイワイ騒いできた仲間だ。それだけ、今回は大事な話なんだろうと桂木は思った。

「お前、心理学とかコミュニケーション学とかも勉強してたよな」

「あ、ああ……」

「教えてほしいんだ」
「有沢さんの事か?」

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