離婚しましたが、新しい恋が始まりました


「そこまで深刻な状態じゃあなさそうだけど、わかりやすい症状はあるなあ。楽しく話していても直接は僕の目を見ないし、仕事以外では自分に自信が無さそうだし……」
「ああ、勤務中はしっかり働くし、誰とでも同じように接している」

「だから余計に、私生活がタイヘンだと思う」

「大変?」

「男性に触れられたくないんだろう」
「そうかもしれない……」

だから秦野に物凄く抵抗していたし、磐が怪我が無いかと腕に触った瞬間に払われたのだ。

「原因は、離婚だろうか」
「ああ、おそらくな。結婚していた相手に、心を酷く傷つけられたんだろう」

離婚は秦野の浮気だったはずだ。傷つけた元妻に復縁を迫るなんて、益々紬希は心を痛めているかもしれないと思うとやりきれなかった。磐はため息をついた。

「それは……治るんだろうか?」
「わからない。彼女次第だろう。治りたい、治そうと思わないと」
「そうか」

「ま、僕も時々会って食事してるんだ。少しはリラックスしてくれたらいいなと思って」
「ふん、自慢か」

「光宗、お前も素直になれよ」
「は?」
「今日僕を呼び出すくらい、有沢さんの事を気にしているんだろ」


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