離婚しましたが、新しい恋が始まりました
有梨の好みは細身のイケメンなのだ。
「いや、顔は整ってましたよ~。こう、キリっとした眉で」
高山薫は両手で眉を吊り上げた。どうやら男性的なキリっとした顔立ちらしい。
「ふ~ん」
好みのタイプではないと知った有梨はもう半分しか話を聞いていない。
「ね、紬希先輩、ドクターの歓迎会しましょうね!」
「う~ん」
「やらせてあげなさいよ、紬希ちゃん」
「忍センパイ……」
「なら、高山に場所とか任せていい?」
「はいっ!」
「でも、春先は忙しい時期だから、今はダメよ」
「了解しました!新しい先生にも、ご都合を聞いておきますね!」
「ありがとう」
仲間同士の宴会なら、いつも笑顔の高山に任せた方がきっと上手くいくだろう。
何しろ紬希は‶鉄のナース″と言われている存在だ。ドクターたちからの評価は高いし、患者にも信頼されている。
その反面、厳しい指導や高いレベルを求める彼女の姿勢は、同僚からは堅苦しく思われていた。
切れ長の目が紬希をキツく見せていて、気が強い女性だと思われる原因かもしれない。だが紬希は、今さら指導を甘くする気はないので、甘んじてそのあだ名を受け入れていた。