離婚しましたが、新しい恋が始まりました
甘いキスだった。最初は幼い子供へするように、そっと頬に唇の感触が伝わった。
それから柔らかく唇を啄まれ、気がつけば深く唇を合わせていた。
「ん……」
こんなキスは初めてだ。既婚者だったとはいえ、夫からこんなに優しいキスをされたことは無かった。
「息をして……」
たどたどしくキスを受ける紬希に、磐は驚いていた。結婚していた女性とは思えないくらい彼女の反応は初々しい。
「好きだ、紬希」
もう、言葉はいらない。磐は思う存分彼女とのキスを堪能した。
(もう誰にも渡さない)
秦野が復縁を迫っても、もしも桂木が紬希に恋をしていても磐に彼女を渡す気はなかった。
自分が紬希の心を守ろうと、磐は決めていた。